下肢静脈瘤について

下肢動脈瘤とは

 静脈には逆流防止弁が付いており、血液が足側へ逆流しないようにしていますが、壊れると血液が逆流し、持続的に静脈の圧が増して血管がふくらんでしまいます。妊娠、出産、長時間の立ち仕事などで弁が壊れることが一般的です。女性に多く、加齢によって頻度が増します。妊娠中の一時的な静脈瘤を除き、長い年月をかけて徐々に範囲が広がり、大きくなってきます。
図1

【 主な症状 】

・足の血管が浮き出て見える
・むくむ
・こむら返り(つり)
・足の不快感
・足のかゆみ
・足の色素沈着
・足の潰瘍

 下肢静脈瘤は、表面の静脈がこぶのように拡張・蛇行したもので、夕方に下枝がむくんでだるくなる、夜間に足がつる、皮膚が炎症を起こして痒くなるなどの症状を起こします。多くの方にみられる身近な病気のひとつです。

【 治療方法 】

 治療は、弾力ストッキングによる保存的治療や、手術や硬化療法などがあります。静脈瘤 及びその原因となっている静脈を切除するか、切除せずに静脈をつぶしていますことで治療します。飲み薬で治ったり、自然に治ったりする事はありません。

代表的な治療方法

  • 高周波アブレーションカテーテル治療
  •  皮膚に開けた小さな開口部からカテーテルを静脈に挿入し、カテーテルから放出される熱により静脈壁を収縮させ、静脈を閉塞します。傷跡はカテーテルを挿入するための小さな開口部のみで、低侵襲で行うことができます。
     平成27年6月より最新機器を導入し、高周波アブレーションカテーテル治療を開始しました。
    図9
    図5

  • 血管内レーザー治療
  •  平成23年1月より保険適用が認められました。欧米では、すでに10年ほど前から広く行われている治療法です。原因となっている静脈にファイバーを通じ、血管の内側からレーザーを照射して血管を焼灼し閉塞させる治療法です。併せて、下腿の静脈瘤を小さな傷で切除します。スリッピング手術と同等の成績を残せています。日帰り治療も可能ですが、当院では内出血の合併症などを尐なくするため、通常1泊2日で行っています。
    血管内レーザー治療装置

  • 体表式レーザー治療
  •  あざやシミの治療と同じで、皮膚表面からレーザーを照射して静脈瘤を収縮させます。ふくらみのない蜘蛛の巣状の静脈瘤に適応があります。

  • ストリッピング手術(静脈抜去)
  •  原因となっている静脈を抜去してしまう手術で、古くから行われている方法です。しかし、傷が多い、しびれなどの知覚神経障害(生活に支障なし)などの欠点があります。

    手術実績

    2014年度 2015年度 2016年度

    83件

    119件

    153件

     下肢静脈瘤の治療は、従来、ストリッピング手術、高位結紮術、硬化療法などの治療が 行われてきましたが、それぞれ、侵襲や治療後の成績などで問題がありました。2011年980nm ダイオードレーザーによる血管内焼灼術が保険適応となり、局所麻酔で低侵襲に行え、また、治療後成績も満足のいく治療であるため、広く普及し、当院でも多症例に行ってきました。しかし、術後の疼痛や内出血が従来の抜去術と同様であったという問題が残っていました。2014年6月、この点を改善したラジオ波焼灼装置および新しいレーザー装置(1470nm)による血管内焼灼術が新たに保険適応となりました。明らかに、痛みや内出血が、従来装置に比較して軽減されており、当院でも早速、ラジオ波焼灼装置を導入し(西遠地区では最初)、治療を開始しました。患者様の満足度もかなり向上したことを実感しております。
     本邦では、現在、レーザー治療に比較してラジオ波治療の認知度がまだ高くありませんが、ラジオ波による治療は、1998年よりヨーロッパで保険適応となり、それに引き続き、アメリカでも保険適応となっており、すでに10年以上の臨床エビデンスがあります。アメリカでは現在、下肢静脈瘤治療の約60%がラジオ波で行われており、レーザー治療よりも多く行われております。
     従来型のレーザー装置では、約 1200℃という高温で、静脈を焼灼するため、広い範囲の周囲組織にダメージがおよび、痛みや内出血の原因となっておりました。また、指向性があるというレーザーの特性から、静脈壁の焼灼には、ばらつきが出てしまい、焼けすぎる部位と焼け方が尐ない部位が出てしまうという欠点もありました。一方、ラジオ波は、120℃という低温で(1470nmの新型レーザー装置は約230℃)、周囲組織にダメージを与えることなく、静脈壁のコラーゲン繊維をターゲットに均一に焼灼することができます。
     従来、本邦ではストリッピング手術が主に行われてきましたが、治療成績がストリッピング手術に匹敵する血管内レーザー治療が保険適用となり、より低侵襲で効果の高い治療が行えるようになりました。