令和3年度 遠州 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 593 133 203 304 433 555 663 1105 1105 507
コロナ禍における病床確保や感染対策等で厳しい状況の中、令和3年は昨年と比較し入院患者数は多少回復しました。しかし、年代別に見ると 20代の減少が、産婦人科に顕著に見られます。婦人科疾患患者数にあまり変化が無い事から、主に分娩関連(出産件数等)の減少によるものと考えられます。80代の減少も、外科を除く多くの診療科で見られ、特に泌尿器科で顕著です。一方で、10歳未満の患者数は増加しています。令和2年は乳幼児における感染症の減少が特徴でしたが、令和3年はコロナ禍前より減少しているものの、令和2年の約2倍となっています。近年小児科では、食物アレルギー負荷試験を多く行っており、乳幼児の食物アレルギーのへの対応を行っております。
全体の患者構成は例年同様、高齢者の割合が多い傾向にあります。60代以上が全体の61%を占めています。肺炎・心不全など内科系疾患のみならず、80歳代以上の手術適応症例も増加しており、良好な術後経過をたどっています。患者さん・ご家族が、安心してより望ましい治療を選択できるよう、主治医から十分な説明を受けて下さい。また、退院に際し心配や不安がある事も少なくないと思います。当院では入退院支援センターを開設しております。遠慮無く相談して下さい。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 92 19.17 17.35 5.43 84.63
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 88 30.36 20.57 12.50 87.02
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 1あり 71 15.51 14.41 0.00 67.93
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 57 8.63 9.21 3.51 74.25
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 55 3.33 4.36 0.00 68.78
誤嚥性肺炎の症例数は昨年より減少していますが、平均在院日数が10日間程長くなっています。転院率は変化ありません。消化器内科では、内視鏡下治療に力を入れています。胃・大腸・胆管領域では内視鏡下で行える治療が年々増加しており、多くの症例に対応しています。2型糖尿病教育入院が増加しています。糖尿病のコントロールが上手く出来ない場合、一定期間入院していただき、糖尿病の治療や糖尿病についての学習をしていただいています。当院では退院後の継続的な治療を開業医の先生にお願いし、術後の定期的な検査で再度ご紹介をいただいております。高齢者にとって長期入院はADLの低下にもつながるため、早期退院が出来るよう努めています。また、退院後の生活に不安がないよう 入退院支援センターの職員がサポート致します。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 86 31.99 25.32 23.26 85.85
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 40 35.05 19.34 2.50 81.82
160850xx01xxxx 足関節・足部の骨折・脱臼 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他等 30 21.37 18.36 0.00 53.00
160700xx97xx0x 鎖骨・肩甲骨の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 28 4.96 5.99 0.00 46.75
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし 24 2.58 4.99 0.00 33.54
転倒により生じやすい「股関節大腿近位骨折」と「胸椎、腰椎以下骨折」の症例が多くなっています。これらは救急搬送や開業医の先生からの救急受診・入院要請の場合が多く、当院ではそのような状況に対し速やかに対応しております。高齢者では、発症契機が転倒による胸椎、腰椎骨折であってもその原因が骨粗鬆症によることが多くあります。これらを含む胸椎、腰椎の骨折の半数以上はADLの改善を目的に4割の方がリハビリ科へ転科しています。(リハビリ科へ転科した件数はこの数には含まれていません。)当院では高齢者の退院先として、「自宅」が多いのですが、様々な理由で自宅退院が困難な場合もあり、およそ3割の方が自宅以外へ退院されています。当院では退院後よりよい環境で過ごせるよう、入退院支援室等でサポートしております。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 54 4.54 5.40 0.00 30.43
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 49 4.31 4.74 2.04 67.02
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 40 6.98 7.11 0.00 64.50
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 30 2.00 2.75 0.00 61.37
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 26 8.15 9.00 0.00 71.42
虫垂炎の状態により分かれていますが、「虫垂切除術」を行なった症例が最も多くなっています。虫垂炎はほぼ緊急入院にて行なわれます。平均在院日数は全国平均より短くなっています。緊急であっても適切な医療行為が速やかに行なわれています。「腹腔鏡下胆嚢摘出術」も多く行なわれています。総胆管結石の場合、胆嚢結石を合併している事が多くあります。内科で内視鏡的に総胆管結石の治療を行い、後日待機的に胆嚢摘出術を行なう事が多いのですが、症状によりそのまま外科にて摘出術を行なう事もあります。その場合は入院日数が延びる事になります。当院では、各疾患のガイドラインに従って最も適切な治療方法を選択しています。平均在院日数は昨年より3日短縮され全国平均より短くなっています。当院では、局所麻酔下にて「血管内静脈瘤焼灼術(ラジオ波、レーザー)」を1泊2日にて行っております。昨年より手術件数は増加しており、76%が体腔鏡手術です。症例に合わせ術式が選択されます。開腹手術がより適切と判断される場合もあります。手術前に主治医から説明を受け、手術に臨んで下さい。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 124 3.58 6.13 0.81 0.00
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病 なし 90 4.16 5.83 0.00 1.27
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1 あり 62 1.02 2.13 0.00 1.85
060380xxxxx00x ウイルス性腸炎 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 37 2.84 5.53 2.70 3.84
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病 なし 25 4.36 10.47 0.00 0.96
昨年度減少していた細菌性、ウイルス性の呼吸器疾患やウイルス性腸炎が増加しています。一方で、出産件数の減少に伴い、新生児疾患が減少しています。当院では「食物負荷試験」を多く行なっております。幼児期においてバランスのとれた食事を摂取する事は成長するにあたり重要ですが、食物アレルギーの疑いが懸念される場合は食事内容を考慮する必要があります。「食物アレルギー」は慎重に対応したい疾患です。当院では、乳幼児に対し、より安全性を考慮した状態にてアレルギー負荷試験を行っております。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 76 2.34 2.50 0.00 70.71
110420xx02xx0x 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 定義副傷病 なし 73 3.23 3.99 0.00 74.67
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 66 7.30 5.56 1.52 60.32
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 なし 66 10.09 7.02 3.03 72.97
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 37 9.22 8.23 0.00 74.22
「腎・尿管結石」に関連する症例が多くなっています。尿路結石により水腎症や腎盂腎炎を合併する事もあり、場合によっては敗血症を発症した状態で受診される方もいます。炎症を伴う水腎症が高度である場合は、一旦尿管ステント留置を行い、炎症の改善を待ちその後結石除去を行います。結石除去は、結石の大きさ、硬さ、個数により治癒までの期間が異なります。初期の「膀胱癌」に対する「経尿道的手術」の件数も増加しています。膀胱癌は再発しやすく定期的な診察、検査が必要になります。「前立腺生検」の件数も増加しています。「前立腺生検」は前立腺がんの疑いがある場合の最終的な診断の為に行われます。安全性を考慮し、当院では1泊2日にて行っております。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 58 5.78 6.04 0.00 44.53
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 35 6.26 6.11 0.00 37.63
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2 なし 29 2.03 3.05 0.00 40.48
120140xxxxxxxx 流産 25 1.68 2.44 0.00 33.88
120220xx01xxxx 女性性器のポリープ 子宮全摘術等 15 2.13 2.87 0.00 43.13
子宮の良性腫瘍(子宮筋腫)・卵巣の良性腫瘍(卵巣嚢腫・卵巣腫瘍)に対する腹腔鏡下手術が増加しており、平均在院日数は全国平均とほぼ同じです。手術範囲は、筋腫や嚢腫・腫瘍のみ摘出する場合、その臓器全てを摘出する場合があります。状況(年齢・その後の妊娠出産予定等)により選択される術式は異なります。主治医と相談し適切な方法・手術時期を選択・決定してください。「子宮頸部(膣部)切除術等」が行われる症例は、子宮頸がん検診で異常を指摘された後施行される事の多い症例です。多くは「円錐切除」が行われ入院期間は1泊2日です。比較的若い世代に多い疾患です。公私ともに忙しい時期ではありますが、積極的にがん検診を受けていただき、異常が指摘された場合は早めに治療を開始していただくことにより、様々な負担が軽減される事になります。海外と比較しまだまだ受診率が低い頸がん検診です。積極的な受診をお勧めします。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 71 3.27 4.92 0.00 59.75
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 64 2.00 2.03 0.00 54.89
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 27 5.33 5.71 0.00 37.04
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 21 9.24 7.84 0.00 16.33
030390xx99xxxx 顔面神経障害 手術なし 20 10.10 9.01 0.00 51.75
「前庭機能障害」は「耳性めまい」です。入院期間は短期ですが、繰り返す事も多い症例です。「扁桃炎」により食事や水分摂取が困難な場合は入院治療が必要となる場合があります。頻回に扁桃腺炎を繰り返す方には「扁桃腺摘出」をお勧めしています。幼児においては「いびきが大きい」等アデノイド増殖を伴っている場合もあります。扁桃腺摘出と合わせて手術を行いますが、手術時再度アデノイドの大きさを確認し、アデノイド切除を行わない場合もあります。「睡眠時無呼吸症候群」の検査入院(1泊2日)も多く行われています。「睡眠時無呼吸症候群」は就業を含め日常生活に多くの支障をきたす疾患です。終夜睡眠ポリグラフィー検査の結果により必要な方には在宅酸素療法をお勧めしています。
リハビリテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 54 72.65 25.32 1.85 82.83
070370xx99xxxx 脊椎骨粗鬆症 手術なし 21 69.76 21.19 0.00 83.00
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 12 74.83 19.34 0.00 80.00
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 10 67.50 23.02 0.00 76.60
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2 なし - - 19.02 - -
当院は回復期リハビリテーション病棟があり、自院や他院医療機関で急性期治療を終えた後のリハビリを行っております。今回の報告は当院の急性期病棟から回復期リハビリ病棟へ移りリハビリを集中的に行い退院された症例になります。急性期病棟での日数も含む為平均在院日数は長くなっています。退院後の不安を出来るだけ軽減できるよう入退院支援センタースタッフをはじめとした職員が積極的にサポートさせていただいております。転院率は低く(在宅復帰率96%)、リハビリにより良好なADLで退院されていると言えます。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 31 7.84 9.22 0.00 65.81
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 26 7.38 13.07 0.00 64.15
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2 なし - - 29.17 - -
100100xx99x0xx 糖尿病足病変 手術なし 手術・処置等2 なし - - 21.80 - -
120190xx99xxxx 女性生殖系の炎症性疾患(その他) 手術なし - - 7.78 - -
「膿皮症」と「帯状疱疹」が主な症例になります。「膿皮症」は主として蜂巣炎が含まれます。両疾患とも薬物治療(抗生物質・抗ウイルス剤)とともに安静が必要になります。通院治療も可能ですが、ご自宅での安静や連日の通院が困難な場合は入院治療をお勧めしています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 30 - 10 16 - - 1 8
大腸癌 21 11 23 21 - 33 1 8
乳癌 17 - - 12 1 8
肺癌 - 16 57 - 12 1 8
肝癌 - - - - - 10 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大癌に罹患された方で「癌治療」を主に入院された方を初発・再発で集計しました。各項目で10症例以上あるもののみ表示しています。「大腸癌」「胃癌」ともにstageIの件数が増加しています。早期の「大腸癌」「胃癌」では内視鏡下手術が行なわれます。内視鏡手術が適応でない症例では腹腔鏡下手術で治療される事が多く、開腹手術と比べ侵襲が少なく入院期間短縮が期待出来ます。「乳癌」では手術前に腫瘍縮小目的にホルモン治療等が多く行われます。肺癌も手術が可能であれば手術が第一選択になりますが、残念ながら当院では手術を行っていない為他医療機関へ依頼しています。そのため、「肺癌」は化学療法が選択される、ステージが進行した症例が多くなっています。化学療法やホルモン治療は状態がよければ通院治療で行われています。大腸癌・胃癌・乳癌・肺癌は検診で発見されることが多いがんです。早期発見につながりますので、積極的に検診を受けていただきたいと思います。検診に関するお問い合わせは、「健康管理センター」でお受けいたしております。肝癌での入院治療の中心はカテーテル治療(TACE)です。肝癌の症例数は減少していますが、一方で再発率の高い疾患であるためその数にあまり変化はありません。今回大腸癌の再発症例が例年と比較し多くなっています。再発の方が複数回入院を繰り返されていたため延べ回数として多くなっています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 33 25.67 83.03
重症 19 31.53 87.68
超重症 - - -
不明 - - -
成人市中肺炎を重症度別に集計しました。「市中肺炎」とは一般社会においてかかる(日常生活を送っている人が病院・診療所の度とで感染し発症する)肺炎です。「重症度」は以下の項目をポイント化し分類したものです。①年齢②脱水の状態③酸素飽和度④意識障害の有無⑤収縮期血圧
患者数は昨年のおおよそ67%です。コロナ禍以前と比較すると37%です。全体数は減少していますが、重症区分に属する数はあまり変化がありません。例年通り、重症度が上がるほど平均年齢も上昇しています。昨年と比較し、各重症度とも平均在院日数が延長しています。入院が長期化すればADLにも影響し、高齢の場合 嚥下機能の低下により誤嚥性肺炎をおこしやすくなります。当院では平均して入院後4日目からリハビリを開始しております。誤嚥性肺炎に細菌感染が合併することはよくあります。肺炎球菌による肺炎の予防には予防注射もあります。ご利用下さい。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 38 65.50 76.82 12.77
その他 - - - -
発症後、早期治療開始が望ましい疾患です。平均年齢は高くなっていますが、平均在院日数は一週間程度短縮されています。発症から3日以内の症例が約8割を占めています。早期に治療が開始されていると言えます。運動麻痺(半身麻痺、痺れ)構音障害(呂律が回らない)失語症(言葉や文字が理解できない)意識障害、めまい、吐き気等症状があった場合は速やかに受診してください。発症から3日以内の症例の転院率が上昇しています。当院で脳梗塞を主に入院された方の多くは当院の回復期リハビリ病棟へ転棟し、ADL向上に励んでおられます。脳血管疾患症例の回復期リハビリ病棟からの退院転帰の75%が自宅復帰となっております。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 85 2.93 24.01 21.18 79.36
K0462 骨折観血的手術(下腿) 等 58 2.50 13.60 1.72 56.83
K0811 人工骨頭挿入術(股) 33 4.12 27.88 15.15 84.52
K0463 骨折観血的手術(鎖骨) 等 29 1.97 11.10 0.00 50.83
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 24 7.88 12.50 4.17 66.71
手術件数は昨年度の1割増です。高齢者の転倒による骨折で最も多い箇所は大腿骨です。大腿骨の骨折部位により「骨折観血的手術(大腿骨)」・「人工骨頭挿入術(股)」が選択され施行されます。術後翌日若しくは翌々日からリハビリが開始されます。術後平均在院日数はリハビリ期間とも言えます。重点的にリハビリが必要な場合はリハビリ科へ転科し、回復期リハビリ病棟にてリハビリ治療を行います。脊柱管狭窄症、すべり症、椎間板ヘルニア等に対し行われる術式「椎体形成」「椎体固定」「腰椎除圧」等の症例も増加しています。また、スポーツ外傷・障害(膝靱帯・半月板損傷)にも力を入れています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 81 2.62 6.35 2.47 67.60
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 52 0.12 3.13 0.00 30.88
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 45 1.07 2.36 2.22 67.22
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 29 0.00 1.00 0.00 60.86
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 23 3.96 14.70 4.35 73.04
消化器系では胆嚢・鼠径ヘルニア・虫垂だけでなく「結腸切除」「直腸切除・切断」「胃切除・全摘」・「人工肛門造設」においても腹腔鏡下で多く行われています。腹腔鏡の適応範囲が広がるとともに入院期間は短縮されてきました。平均術後日数も昨年度とほぼ同じです。手術件数は昨年度より増加しており、腹腔鏡下手術は前年度の1割増です。悪性腫瘍に対する増加が顕著です。当院では、クリニカルパスを用い合併症のない早期退院を心がけています。手術を受ける事を決断されてから2週間以内に手術が出来るよう調整しています。
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 54 2.20 3.59 1.85 68.80
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 40 1.55 10.25 2.50 76.90
K654 内視鏡的消化管止血術 36 1.67 14.81 0.00 74.78
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 28 25.43 40.71 25.00 80.68
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 23 3.78 4.35 0.00 74.35
「経皮的冠動脈ステント留置術」は、その施行理由(急性心筋梗塞・不安定狭心症・その他)により3種類に区分されています。留置するステントを「再狭窄抑制型(薬剤溶出型)」を使用する事により再発リスクの軽減に努めています。また、この手術時には「経皮的冠動脈形成術(血管拡張)」や「経皮的冠動脈血栓除去」が同時に行われます。昨年度と比較し、「経皮的冠動脈ステント留置術」は1.5割増です。また、心臓カテーテル検査件数も増加しています。総胆管結石排出や結石、胆管狭窄等で生じる黄疸の減黄目的に行われる「内視鏡的胆道ステント留置術」や 膵管狭窄により生じる慢性膵炎に対する「内視鏡的膵管ステント留置術」が多く行われています。尚、総胆管結石が大きい場合は砕石術を行います。「内視鏡的大腸ポリープ切除・粘膜切除術」のみならず、早期胃癌・食道癌・大腸癌に対しても内視鏡的粘膜剥離術の適応対象として積極的に取り組んでいます。症例数も昨年度より増加しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 96 0.21 4.23 1.04 73.64
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 72 1.71 7.94 1.39 73.58
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 65 2.51 5.65 1.54 63.22
K841-5 経尿道的前立腺核出術 33 2.24 5.76 0.00 73.30
K783 経尿道的尿管狭窄拡張術 11 2.00 8.55 0.00 65.27
尿路結石に関連した手術が多く行われています。「尿管ステント留置術」は尿管狭窄症に対閉塞をしても行われますが、レーザーによる結石除去術施行時にも結石による閉塞を目的に留置されます。「膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的)」は上皮内癌に対して行われます。膀胱癌は再発しやすい癌です。定期的な観察が必要であると同時に必要に応じて再度切除術が行われます。また、前立腺肥大症に対する「前立腺核出術」も多く行っています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 48 1.21 3.85 0.00 36.17
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 42 1.00 4.36 0.00 46.57
K867 子宮頸部(腟部)切除術 28 0.04 0.96 0.00 41.75
K9091イ 流産手術(妊娠11週まで)(手動真空吸引法) 24 1.21 0.13 0.00 34.08
K861 子宮内膜掻爬術 24 0.04 0.04 0.00 48.08
卵巣嚢腫等に対して施行される「腹腔鏡下子宮附属器腫瘍摘出術」が多く行われています。子宮付属器(卵巣・卵管)を摘出する場合や卵巣嚢腫のみ摘出する場合と状況に応じて術式が決定されます。卵巣は女性ホルモン分泌に関係しています。摘出・切除が必要となった場合は主治医からよく説明を受けて下さい。「腹腔鏡下膣式子宮全摘術」も多く行われています。この術式は「子宮筋腫」に対し施行されます。子宮頸癌では上皮内に原局している場合には「子宮頸部(膣部)切除術」が行われます。当科では 子宮脱に対する「腹腔鏡下仙骨腟固定術」も開始しております。
リハビリテーション科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0811 人工骨頭挿入術(股) 32 3.56 72.13 3.13 80.16
K0461 骨折観血的手術(大腿) 32 1.50 68.69 0.00 84.59
K0821 人工関節置換術(膝) 等 19 8.79 65.47 0.00 74.37
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 10 11.00 102.00 0.00 81.10
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) - - - - -
一般病棟で治療を行った後、退院に向けて重点的にリハビリが必要となった場合はリハビリ科に転科します。この集計はその中でも手術後にリハビリ科に転科した症例の集計になります。一般病棟からリハビリ科を経て退院までの期間となる為、平均術後日数は他の診療科と比較し長くなっています。在宅復帰を目標に最適なリハビリテーションを行なっております。昨年度と比較し転科症例は増加していますが、他医療機関からのリハビリ目的での転院症例も増加しています。令和3年度の回復期リハビリ病棟の在宅復帰率は96%です。リハビリの効果が現れていると考えます。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 22 1.14 7.55 0.00 21.05
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 10 1.70 3.00 0.00 46.20
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) - - - - -
K340-4 内視鏡下鼻・副鼻腔手術2型(副鼻腔単洞手術) - - - - -
K287 先天性耳瘻管摘出術 - - - - -
術式としては2か所に分かれていますが、「鼓室形成術」が最も多く施行されています。鼓室形成術での入院期間は5日間で平均的な入院期間なっており、術後経過も安定しています。口蓋扁桃手術(摘出)ではコブレーターにより手術時間の短縮、出血量の減少、術後疼痛の減少を図っています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 12 0.00 3.00 33.33 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) - - - - -
K7151 腸重積症整復術(非観血的) - - - - -
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) - - - - -
- - - - - - -
新生児仮死蘇生術や非観血的腸重積整復術が行なわれています。多くの手術はそれぞれの専門診療科で行なわれているため、あくまでも小児科医が行なう手術となります。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 13 0.23
180010 敗血症 同一 11 0.20
異なる 21 0.37
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 22 0.39
異なる - -
「敗血症」は何らかの原因で細菌感染があり、そこから細菌が血液中に侵入し全身に広がった状態です。「播種性血管内凝固症候群」は何らかの病気に伴って発症しますが、その原因疾患は様々ですが敗血症もその1つです。入院契機病名(入院が必要と判断された病名)と同一というのは、その原因となる病気が入院決定時点で不明であり、来院された時点での状態が既に重篤である場合です。異なる場合は、その原因となる病気が判明している場合、若しくは、入院後に発症した場合です。令和3年度は昨年度と比較し「播種性血管内凝固症候群」・「敗血症」の症例数・発生率ともに変化はみられません。他の症例と比較し、良好な状態での退院が難しい症例です。3割強が自宅退院、3割弱が施設や療養病院となっています。
「手術・処置当の合併症」とは術後出血や術後感染症もありますが、予防接種副反応、発熱等、予防接種に関連した症例もあります。こちらは 症例数・発生率伴に昨年度より減少しています。
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