令和6年度 遠州 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 756 173 234 292 364 502 636 1176 1358 610
患者数全体は、前年と比較し増加しました。全体の年代別では、0歳代・80歳代が大幅に増加した一方、50歳代・60歳代がやや減少しています。60歳以上では、内科・皮膚科・救急科で増加しています。0歳代では、インフルエンザ・RSウイルスをはじめとする感染症や食物アレルギーの負荷試験目的の小児科への入院が大幅に増加しています。
全体の患者構成は70歳以上の高齢者が52%を占めており、例年同様、増加傾向にあります。肺炎・心不全など内科系疾患のみならず、手術適応症例において70歳以上の外科や整形外科の患者数も増加しています。高齢ですが、良好な術後経過をたどっています。患者様・ご家族様が、安心してより望ましい治療を選択できるよう、主治医から十分な説明を受けて下さい。また、退院に際し心配や不安がある事も少なくないと思います。当院では入退院支援センターを開設しております。遠慮無く相談して下さい。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 117 36.03 20.78 8.55 85.65
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 105 20.49 16.40 0.00 86.28
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 100 24.85 17.33 2.00 87.14
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 74 13.74 8.88 2.70 76.30
170020xxxxxx0x 精神作用物質使用による精神及び行動の障害 定義副傷病 なし 69 1.30 2.68 0.00 33.35
「誤嚥性肺炎」の症例数は昨年と比べて増加しています。75歳以上の「細菌性肺炎」の患者も増加しており、高齢者における呼吸器疾患が多くなっています。高齢者が入院した場合、ADLの低下が危惧されます。退院後の生活に不安がある患者や患者家族のため、当院では、入院当初から退院に向けて、入退院支援センターの職員やケースワーカーが、サポートしております。
消化器内科では、内視鏡下治療に力を入れています。胃・大腸・胆管領域では内視鏡下で行える治療が年々増加しており、多くの症例に対応しています。総胆管結石性胆管炎の症例数が特に多く、内視鏡的胆道ステント留置術も多く施行されています。
循環器内科では、急性心筋梗塞・労作性狭心症・心不全に力を入れています。高血圧の専門医が2名在籍しており、難治性高血圧症の治療も行われています。令和7年10月から睡眠時無呼吸外来を耳鼻咽喉科から引き継ぎ、循環器内科で開始します。
「精神作用物質使用による精神及び行動の障害 定義副傷病なし」は急性アルコール中毒による入院です。コロナ流行中は減少していましたが、増加に転じています。前年比で2倍となっています。重症例はありませんが、場合によっては吐物による窒息等、命の危険にさらされる事もあります。
当院では退院後の継続的な治療を開業医の先生にお願いし、術後の定期的な検査で再度ご紹介をいただいております。高齢者にとって長期入院はADLの低下にもつながるため、早期退院が出来るよう努めています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 178 30.63 25.29 14.61 84.26
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 57 18.26 21.38 0.00 74.81
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 34 31.65 19.16 8.82 84.50
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。) 腱縫合術等 28 9.04 12.71 0.00 27.07
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 22 15.32 15.41 0.00 69.55
転倒により生じやすい「股関節大腿近位骨折」や「胸椎、腰椎以下骨折」の症例数が昨年に比べ大幅に増加しています。これらは救急搬送や開業医の先生からの救急受診・入院要請の場合が多く、当院ではそのような状況に対し速やかに対応しております。また、「変形性膝関節症」の症例が昨年同様多くなっており、「人工関節置換術(膝)」が多く行われております。
整形外科では、変形性膝関節症・半月板損傷・膝靭帯損傷などの膝関節疾患や、腰部脊柱管狭窄症・頚髄症・椎間板ヘルニアなどの脊椎疾患に力をいれています。腕や手・指を専門的に治療する「手外科」の医師もおり、手根管症候群や手指の骨折等を専門的な医師が診察しています。
また、二次性骨折予防にも力をいれています。二次性骨折とは、大腿骨近位部骨折(股関節の骨折)等含めた脆弱性骨折を受傷した後に、反対側の大腿骨近位部骨折やその他の骨折を起こしてしまうことを言います。大腿骨近位部骨折を受傷した後、5年以内に2度目の骨折を起こす危険性は骨折したことがない方と比べ10倍以上になります。大腿骨近位部骨折は多くの場合、骨粗鬆症が原因です。そのため、大腿骨近位部骨折を受傷後、早期に骨粗鬆症の評価とその治療(手術、リハビリ、薬物療法)を行い、二次性骨折の予防に努めています。
令和7年9月より、長年、浜松医科大学医学部附属病院で脊椎診療班のチーフとして脊椎・脊髄腫瘍や脊柱変形、脊柱靭帯骨化症などの高難度手術から、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、頚髄症、頚椎症性神経根症などの除圧術まで数多くの手術を執刀してきた長谷川医師が副院長として赴任しました。一つの治療手技にとらわれず、幅広い対応が可能となり、これまで以上に脊椎・脊髄治療、手術に力を入れていきますので、手術、治療を迷われている方のセカンドオピニオンを含め脊椎でお困りの患者様の受診、ご紹介をお待ちしております。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 74 4.26 5.61 0.00 4.80
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1 あり 72 1.11 2.10 0.00 3.33
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 72 3.32 6.11 1.39 0.00
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2 なし 63 4.05 6.98 0.00 2.10
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病 なし 59 4.00 8.02 1.69 2.46
RSウイルスやマイコプラズマ、細菌等による肺炎の患者数が昨年に比べ増加しており、「肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし」の症例数が昨年より20件以上多くなっています。
「入院期間短縮、低出生体重に関連する障害-」は、新生児期に異常(新生児黄疸や新生児感染症など)が見つかった場合や帝王切開で生まれた後の経過観察の入院等が該当します。
当院では「食物負荷試験」を多く行なっており、昨年に比べ、患者数が増加しています。幼児期においてバランスのとれた食事を摂取する事は、成長するにあたり重要ですが、食物アレルギーの疑いが懸念される場合は、食事内容を考慮する必要があります。「食物アレルギー」は慎重に対応したい疾患です。乳幼児に対し、より安全性を考慮した状態にてアレルギー負荷試験を行っております。
内分泌の医師が在籍しており、低身長症の検査として、内分泌負荷試験を行っています。
当院小児科の最大の特徴は、心理士が充実していることであり、今後も地域のニーズに応えられるよう力を入れていきたいと思います。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx0200xx 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 86 7.86 7.05 0.00 65.65
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 63 5.02 4.54 0.00 71.75
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 41 4.54 5.32 0.00 34.05
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 33 2.00 2.66 0.00 61.94
060150xx02xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴うもの等 26 6.65 9.49 0.00 43.00
外科では各疾患のガイドラインに従い手術による治療を行っています。
対象となる疾患には消化器悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌、胆道癌)をはじめ、乳癌や緊急手術を必要とする急性腹症(虫垂炎、胆嚢炎、臓器損傷、イレウス)、ヘルニア疾患、甲状腺疾患、呼吸器疾患、肛門疾患等があり、多くの疾患で腹腔鏡手術を導入し、体への負担を減らしながら、根治度を確保するバランスのとれた治療を心がけています。近年のデータでは胆嚢炎に対する腹腔鏡下手術が増加傾向にあり、早期手術により安定した術後成績が保たれています。
血管外科では下肢静脈瘤に対してラジオ波を用いた血管内静脈瘤焼灼治療を積極的に行い、整容性を考慮した静脈瘤根治術を目指しています。また血液透析のためのシャント作成困難例やシャントトラブルに対する手術、カテーテル治療も血管外科が対応しています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx02xxxx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 59 2.97 2.92 0.00 40.12
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 56 5.05 5.88 0.00 45.18
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 51 5.98 5.97 0.00 43.37
120090xx97xxxx 生殖器脱出症 手術あり 19 6.37 7.74 0.00 73.63
120140xxxxxxxx 流産 18 1.89 2.44 0.00 32.61
「子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等」の症例が昨年と同様に最も多く、子宮頸部(腟部)切除術は、主に子宮頸部異形成(前癌病変)に行われます。子宮頸がん検診を受診される方が徐々に増えてきたことで、本年の症例数も多くなっています。
子宮頸がんは、30~40代の比較的若い世代がかかることが多いがんですが、ワクチン接種と定期的な検診受診で防ぐことができるがんです。積極的に健診を受けられることをお勧めします。
子宮筋腫、子宮腺筋症などの子宮の良性疾患、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍などの卵巣の良性疾患に対しては、腹腔鏡下手術を積極的に行っており、前年同様、症例数が多くなっています。年齢、妊娠出産などのライフプラン、症状など、お一人お一人の状況に応じて、適切な手術方法を選択します。
婦人科領域では手術の他に、思春期外来にも力を入れています。女性医学専門医の資格を持つ女性医師が診察を担当します。思春期特有の心身の悩みから子宮頸がんワクチンの接種まで、幅広く対応しています。
産婦人科では、的確な診断をし、患者様のご希望にできるだけ対応し、安全第一の治療を心がけています。近年、無痛分娩の需要が高まっており、当院でも来年より一定の条件下で無痛分娩に対応予定です。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110420xx02xxxx 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 53 3.11 4.07 0.00 71.92
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病 なし 51 6.25 5.16 0.00 60.06
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1 あり 44 2.05 2.45 0.00 72.25
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2 なし 27 9.67 6.81 0.00 72.59
110310xx01xxxx 腎臓又は尿路の感染症 経尿道的尿管ステント留置術 17 15.65 13.58 0.00 67.71
「腎・尿管結石」に関連する症例が多くなっています。尿路結石により水腎症や腎盂腎炎を合併する事もあり、場合によっては敗血症を発症した状態で受診される方もいます。炎症を伴う水腎症が高度である場合は、一旦尿管ステント留置を行い炎症の改善を待ち、その後結石除去を行います。結石除去は、結石の大きさ、硬さ、個数により治癒までの期間が異なります。「腎・尿管結石」の患者は、50代から60代の方が多く、「上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし」の平均年齢は「60歳」となっています。
「前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり」は、前立腺生検を目的とした症例です。「前立腺生検」は、前立腺がんの疑いがある場合の、最終的な診断の為に行われます。当院では安全性を考慮し、1泊2日入院にて行っております。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1 あり 48 2.00 2.02 0.00 56.23
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 31 3.23 4.67 0.00 62.87
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 30 8.97 7.35 0.00 20.07
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 18 4.33 5.63 0.00 29.67
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 18 4.72 5.84 0.00 57.78
「前庭機能障害」は「耳性めまい」です。入院期間は短期ですが、繰り返す事も多い症例です。また 扁桃肥大や鼻中隔弯曲の程度により手術も行います。
扁桃炎、扁桃肥大の症例が昨年と同様に多く、頻回に扁桃腺炎を繰り返す方には「扁桃腺摘出」をお勧めしています。幼児においては「いびきが大きい」等アデノイド増殖を伴っている場合もあります。扁桃腺摘出と合わせて手術を行いますが、手術時再度アデノイドの大きさを確認し、必要に応じアデノイドの追加切除を行います。「扁桃炎」により食事や水分摂取が困難な場合は入院治療が必要となる場合があります。
「慢性副鼻腔炎」の症例数が増加しており、内視鏡下鼻・副鼻腔手術が行われています。
救急医学科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 36 34.72 20.78 8.33 88.89
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 19 24.26 13.66 5.26 86.79
100380xxxxxxxx 体液量減少症 12 12.17 10.26 0.00 77.92
161020xxxxx00x 体温異常 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 12 6.67 6.53 0.00 79.58
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし - - 3.58 - -
救急科は主に救急搬送された症例を対応しています。年間5,179台の救急搬送を受けています。救急搬送の受け入れ件数が前年度と比べ、約340件増加し、それに伴い、救急科の入院件数も増加しました。
日頃より各専門診療科と連携し、より専門的な治療が必要と判断した場合は、それぞれの専門診療科へ継続的な治療を依頼しています。そのため今回のような10件以上ある症例のみ表示する統計では、専門科へ依頼をしない入院(誤嚥性肺炎や尿路感染症、脱水症、熱中症等)が集計されますが、救急科では胃腸炎や心不全等の内科疾患や、骨折・脳振盪等の外傷症例、関節炎、薬物中毒等様々な病名に対応しています。
リハビリテーション科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 74 73.96 25.29 2.70 83.54
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 27 66.96 19.16 7.41 84.81
070370xx99xxxx 骨粗鬆症 手術なし 21 64.95 21.26 0.00 85.14
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2 なし - - 19.30 - -
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 - - 21.38 - -
当院は回復期リハビリ病棟があり、自院や他院医療機関で急性期治療を終えた後のリハビリを行っております。今回の集計は、当院の急性期病棟から回復期リハビリ病棟へ移りリハビリを集中的に行い、退院された症例になります。平均在院日数は、急性期病棟での日数も含みます。
リハビリテーション科では、整形疾患、脳卒中、四肢切断、脊椎損傷等、幅広い疾患のリハビリを行っています。
回復期病棟の在宅復帰率は96.8%と高く、リハビリにより良好なADLで退院されていると言えます。早期自宅退院を目標にリハビリを行っています。
退院後の不安を出来るだけ軽減できるよう、入退院支援センタースタッフをはじめとした職員が、一人一人に合わせた退院支援をしております。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 11 8.64 12.98 0.00 66.73
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 手術あり 手術・処置等1 なし - - 4.65 - -
100100xx97x0xx 糖尿病足病変 手術あり 手術・処置等2 なし - - 24.47 - -
140210xx97xxxx 先天性耳瘻孔、副耳 手術あり - - 3.24 - -
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2 なし - - 2.74 - -
「蜂巣炎」の症例数が多く、重症な方、安静を保つのが困難な方、外来通院が困難な方が入院での加療となります。
形成外科の手術は、ほとんど日帰りで行っているため、今回のDPCデータには反映されていません。
入院外来合わせて、年間約400件の手術を行っており、「皮膚腫瘍摘出術」「陥入爪手術」「デブリードマン」が多く行われています。
今後も日帰り手術を積極的に行っていくと共に、入院対応にも力を入れていきます。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1 なし 24 16.79 12.98 0.00 71.29
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 14 10.86 9.33 0.00 66.93
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2 なし - - 28.94 - -
050180xx99xxxx 静脈・リンパ管疾患 手術なし - - 14.41 - -
080090xxxxxxxx 紅斑症 - - 9.93 - -
「蜂巣炎」「帯状疱疹」「水疱性類天疱瘡」が主な症例になります。下肢の蜂巣炎が昨年に比べて増加しています。
蜂巣炎、帯状疱疹では重症な方、安静を保つのが困難な方、外来通院が困難な方が入院での加療となります。創部処置と並行し、各疾患に応じて適切な薬物治療を行っています。
また、帯状疱疹罹患後に神経痛が残る場合があります。帯状疱疹ワクチンは発症予防・重症化予防・帯状疱疹後神経痛の予防に有効とされています。当院でもワクチン接種を行っておりますので、お問い合わせ下さい。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 27 5 5 6 3 4 1 8
大腸癌 13 11 14 35 2 14 1 8
乳癌 11 11 3 2 1 6 1 8,6
肺癌 2 6 21 27 1 15 1 8
肝癌 2 7 0 3 2 9 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
5大癌に罹患された方で「癌の検査・治療」を目的に入院された方を初発・再発で集計しました。なお、症例数が10未満の項目は「-」で示しています。
「初発」とは、自施設において当該腫瘍の診断、初回治療を実施した場合を指し、「再発」とは、自施設・他施設を問わずに初発に対する一連の治療が完了した後、自施設にて診断した場合や、がん寛解後に局所再発・再燃または新たに遠隔転移した場合を指します。
「胃癌」では、stageⅠの早期胃癌が増加しています。これらの症例の多くは、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)と呼ばれる病変の切除を目的とした入院です。
「大腸癌」では、stageⅣの件数が前年に比べ増加しています。早期の「大腸癌」では内視鏡下手術が行なわれるため、内視鏡手術が適応ではない症例が増加したといえます。内視鏡手術が適応でない症例では、腹腔鏡下手術で治療される事が多く、開腹手術と比べて侵襲が少なく入院期間短縮が期待出来ます。
「乳癌」では、stageⅢの件数が前年に比べ減少しています。切除可能であれば、乳房全切除術や腋窩リンパ節郭清術が行われています。手術前に腫瘍縮小目的にホルモン治療等が多く行われます。
「肺癌」も手術が可能であれば手術が第一選択になりますが、残念ながら当院では手術を行っていない為他医療機関へ依頼しています。そのため、「肺癌」は化学療法が選択される、ステージが進行した症例が多くなっています。化学療法は状態がよければ通院治療で行われています。
「肝癌」での入院治療の中心はカテーテル治療(TACE)です。「肝癌」は再発率の高い疾患であるため、再発の症例数にあまり変化はありません。
「大腸癌」・「胃癌」・「乳癌」・「肺癌」は検診で発見されることが多い癌です。早期発見につながりますので、積極的に検診を受けていただきたいと思います。検診に関するお問い合わせは、「健康管理センター」でお受けいたしております。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 25 8.88 51.60
中等症 113 21.21 80.10
重症 20 19.95 87.15
超重症 - - -
不明 - - -
成人市中肺炎を重症度別に集計しました。「市中肺炎」とは一般社会においてかかる(日常生活を送っている人が病院・診療所の外で感染し発症する)肺炎です。「重症度」は以下の項目をポイント化し分類したものです。①年齢②脱水の状態③酸素飽和度④意識障害の有無⑤収縮期血圧
患者数は、コロナ禍以前より増加しており、前年比でも約30人増加しています。患者数の増加に伴い、中等症・軽症の患者数が増加し、中等症は約40人も増加しています。前年と比べ80歳代の患者数が増えたため、中等症が増加したと思われます。例年通り、重症度が上がるほど平均年齢も上昇しています。
入院が長期化すればADLにも影響し、高齢者の場合、嚥下機能の低下により誤嚥性肺炎をおこしやすくなります。当院では平均して入院後4日目からリハビリを開始しており、79%の方がご自宅へ退院されています。誤嚥性肺炎に細菌感染が合併することはよくあります。肺炎球菌による肺炎の予防にはワクチンもあります。ご利用下さい。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 36 47.28 80.50 5.00
その他 - - - -
脳梗塞は、発症後、早期治療開始が望ましい疾患です。発症から3日以内に入院した症例が約9割を占めており、早期に治療が開始されていると言えます。運動麻痺(半身麻痺、痺れ)、構音障害(呂律が回らない)、失語症(言葉や文字が理解できない)、意識障害、めまい、吐き気等の症状があった場合は速やかに受診してください。当院はリハビリテーションを主に行う回復期リハビリテーション病棟を設置しています。脳梗塞で入院された方の中には当院の回復期リハビリテーション病棟へ転棟し、ADL向上に励んでおられる方もいらっしゃいます。脳梗塞で入院された方の66%がご自宅へ退院されています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 153 2.31 25.14 13.73 80.22
K0821 人工関節置換術(膝) 等 80 2.09 16.19 0.00 73.88
K0811 人工骨頭挿入術(股) 65 2.85 27.00 12.31 83.45
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(下腿) 等 34 0.97 1.56 0.00 45.41
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 34 3.09 7.62 0.00 52.38
高齢者の転倒による骨折で最も多い箇所は大腿骨です。大腿骨の骨折部位により「骨折観血的手術(大腿骨)」、「人工骨頭挿入術(股)」が選択され施行されます。術後翌日若しくは翌々日からリハビリが開始されます。術後平均在院日数はリハビリ期間とも言えます。重点的にリハビリが必要な場合はリハビリ科へ転科し、回復期リハビリ病棟にてリハビリ治療を行います。術後に回復期病棟へ転棟した患者の手術件数は、リハビリ科として計上しています。リハビリ科への転棟患者も含めると、「骨折観血的手術(大腿骨)」は207件、「人工骨頭挿入術(股)」は98件施行しており、昨年と比べて大幅に増加しています。
当院では、脊椎外科、膝関節外科、スポーツ外傷・障害(膝靱帯・半月板損傷)にも力を入れています。
膝関節外科は、専門とする医師が院長を含め2名在籍しており、関節鏡下手術、骨切り術、人工関節置換術などに取り組んでいます。
手外科を専門とする医師が在籍しており、手外科では、肘~手指までの骨折、脱臼などの外傷や変形性関節症、手根管症候群などの末梢神経障害、先天性の障害や関節リウマチによる手指変形などを治療しています。
令和7年9月より、長年、浜松医科大学医学部附属病院で脊椎診療班のチーフとして脊椎・脊髄腫瘍や脊柱変形、脊柱靭帯骨化症などの高難度手術から、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、頚髄症、頚椎症性神経根症などの除圧術まで数多くの手術を執刀してきた長谷川医師が副院長として赴任しました。一つの治療手技にとらわれず、幅広い対応が可能となり、これまで以上に脊椎・脊髄治療、手術に力を入れていきますので、手術、治療を迷われている方のセカンドオピニオンを含め脊椎でお困りの患者様の受診、ご紹介をお待ちしております。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 103 3.21 9.72 0.00 67.19
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 60 1.30 3.28 0.00 71.65
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 41 0.54 3.00 0.00 34.05
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 29 0.00 1.00 0.00 63.10
K718-22 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの) 26 1.12 4.54 0.00 43.00
消化器系では胆嚢摘出、鼠径ヘルニア手術、虫垂切除だけでなく結腸切除、直腸切除・切断、胃切除・全摘、人工肛門造設においても、腹腔鏡下での手術が多く行われています。詳細な手術実績・症例数はホームページの診療科・各部門の外科をご覧ください。
腹腔鏡の適応範囲が広がるとともに、入院期間は短縮されてきました。当院では、クリニカルパスを用い、合併症のない早期退院を心がけています。手術を受ける事を決断されてから2週間以内に手術が出来るよう調整しています。
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 65 1.43 17.51 4.62 75.58
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 49 2.59 3.29 0.00 71.31
K654 内視鏡的消化管止血術 30 2.20 12.47 10.00 68.57
K5461 経皮的冠動脈形成術(急性心筋梗塞) 24 0.00 12.96 8.33 70.17
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 22 1.00 5.95 0.00 75.41
総胆管結石排出や結石、胆管狭窄等で生じる黄疸の減黄目的に行われる「内視鏡的胆道ステント留置術」や膵管狭窄により生じる慢性膵炎に対する「内視鏡的膵管ステント留置術」が多く行われています。なお、総胆管結石が大きい場合は砕石術を行います。内視鏡治療後に外科へ転科し、胆嚢摘出術を行う症例もあります。
「内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術」のみならず、早期胃癌・食道癌・大腸癌に対しても内視鏡的粘膜下層剥離術の適応対象として積極的に取り組んでいます。
「経皮的冠動脈ステント留置術」は、その施行理由(急性心筋梗塞・不安定狭心症・その他)により3種類に区分されています。留置するステントに「再狭窄抑制型(薬剤溶出型)」を使用する事により、再発リスクの軽減に努めています。また、この手術時では「経皮的冠動脈形成術(血管拡張)」や「経皮的冠動脈血栓吸引術」が同時に行われます。平日は、昼夜問わず、胸痛がある患者をお断りしないよう努めています。
令和7年7月から不整脈に対するアブレーション治療を開始しました。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 57 0.98 4.07 0.00 43.65
K867 子宮頸部(腟部)切除術 49 1.00 1.00 0.00 41.90
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 39 1.00 3.95 0.00 47.33
K872-31 子宮内膜ポリープ切除術(電解質溶液利用) 等 21 1.00 1.00 0.00 40.14
K861 子宮内膜掻爬術 19 0.89 0.21 0.00 52.47
卵巣嚢腫、卵巣腫瘍などの卵巣の良性疾患に対して行われる「子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡下)」が最も多く行われています。子宮筋腫、子宮腺筋症などの子宮の良性疾患に対する腹腔鏡手術だけでなく、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫に対する子宮鏡手術も積極的に行っています。年齢、妊娠出産などのライフプラン、症状など、お一人お一人の状況に応じて、適切な手術方法を選択します。
「子宮頸部(膣部)切除術」は、主に子宮頚部異形成(前癌病変)に行われます。子宮頸がん検診を受診される方が徐々に増えてきたことで、本年も多く行っています。
子宮頸がんは、30~40代の比較的若い世代がかかることが多いがんですが、ワクチン接種と定期的な検診受診で防ぐことができるがんです。積極的に健診を受けられることをお勧めします。
女性の健康寿命が長くなり、骨盤臓器脱(子宮脱)で悩まれる方が増えています。当院では、腹腔鏡下で身体への負担が少なく、かつ再発の起こりにくい手術(腹腔鏡下仙骨膣固定術)を導入しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 75 0.12 3.13 0.00 71.24
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 57 2.79 5.74 1.75 61.72
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 28 1.82 7.07 0.00 72.93
K7983 膀胱結石摘出術(レーザーによるもの) - - - - -
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) - - - - -
昨年と同様に尿路結石に関連した手術が多く行われています。「経尿道的尿管ステント留置術」は尿管狭窄症による閉塞に対しても行われますが、レーザーによる結石除去術施行時にも結石による閉塞予防を目的に留置されます。尿管狭窄症による閉塞のため、尿管ステントを継続的に留置する場合は、定期的な交換が必要となります。
炎症を伴う水腎症が高度である場合は、一旦「経尿道的尿管ステント留置術」を行い炎症の改善を待ち、その後「経尿道的尿路結石除去術」を行います。結石除去は、結石の大きさ、硬さ、個数により治癒までの期間が異なります。
「膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的)」は膀胱上皮内癌に対して行われます。膀胱癌は再発しやすい癌です。定期的な観察が必要であると同時に、必要に応じて再度切除術が行われます。
リハビリテーション科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 54 1.91 75.41 1.85 82.61
K0811 人工骨頭挿入術(股) 33 2.55 69.27 3.03 83.70
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) - - - - -
K142-4 経皮的椎体形成術 - - - - -
K0821 人工関節置換術(膝) 等 - - - - -
一般病棟で治療を行った後、退院に向けて重点的にリハビリが必要となった場合は、リハビリテーション科に転科します。この集計は、その中でも手術後にリハビリテーション科に転科した症例の集計になります。今回の集計の平均術後日数は、一般病棟からリハビリテーション科を経て退院までの期間となります。
リハビリテーション科では、早期在宅復帰を目標に最適なリハビリを行なっております。脳卒中地域連携パス、大腿骨頸部骨折地域連携パスに参加し、開業医とも連携して治療していきます。令和6年度の回復期リハビリ病棟の在宅復帰率は96.8%です。リハビリの効果が現れていると考えます。
VR等を使用したニューロリハビリテーションも行っており、今後も力を入れていく予定です。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 27 1.56 7.48 0.00 21.04
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 10 1.60 2.10 0.00 59.60
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 10 1.00 3.00 0.00 34.70
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) - - - - -
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 - - - - -
口蓋扁桃手術(摘出)が、本年も多く行われています。この手術ではコブレーターという高周波電流を利用したバイポーラシステムにより手術時間の短縮、出血量の減少、術後疼痛の減少を図っています。
術式としては2つに分かれているため、今回の統計には表示されていませんが、「鼓室形成術」も多く施行されています。「鼓室形成術」は、中耳炎手術の代表的な術式になります。この手術には、耳漏と止める、難聴を改善するなどの機能改善を目的とする手術から、真珠腫というのう胞を摘出するなど目的に応じた手術が行われています。鼓膜がやぶれ、耳漏が続く場合は、通院治療では治癒することが困難であり、手術の適応があります。すべての難聴が手術の適応とはなりませんが、検査により伝音性難聴と診断された場合は、手術で聴力改善の期待があります。また真珠腫というのう胞は徐々に増大し、難聴、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎などの合併症を引き起こすため、早期の手術が必要です。手術合併症軽減に努め、術後も長期的に安定した状態を維持することを目指しています。
耳鼻咽喉科では、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻・副鼻腔手術にも力を入れており、多く行われています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 26 0.43
異なる 20 0.33
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 27 0.44
異なる - -
播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症などの重篤な合併症や手術・術後の合併症の発生率を示します。なお、症例数が10未満の項目は「-」で示しています。
『同一』というのは、入院契機病名(入院が必要と判断された病名)とその原因となる病気が入院決定時点で不明であり、来院された時点での状態が既に重篤である場合です。
『異なる』場合は、その原因となる病気が判明している場合、若しくは、入院後に発症した場合です。
発生率は、各症例数の令和6年6月1日~令和7年5月31日退院の全退院患者数に対する発生率を示しています。
「敗血症」は何らかの原因で細菌感染があり、そこから細菌が血液中に侵入し全身に広がった状態です。「播種性血管内凝固症候群」は何らかの病気に伴って発症しますが、その原因疾患は様々です。敗血症はその1つです。
「播種性血管内凝固症候群」「敗血症」「その他の真菌感染症」は他の症例と比較し、良好な状態での退院が難しい症例です。前年度と比較し、「敗血症」の症例数が増加しています。特に『同一』の症例が増えており、来院時から重篤である患者が増加しています。
「手術・処置等の合併症」とは、術後出血や術後感染症もありますが、薬剤に関連した症例もあります。前年度と比較し、症例数・発生率はやや増加しています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1037 966 93.15%
手術中に長時間同じ姿勢となり、手術後もベッド上での安静が必要な場合があります。このような状況では、静脈の流れが悪くなり、血液が固まりやすくなります。この血液の固まり(血栓)が出来た状態を「深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)」と言います。症状はふくらはぎの太さの左右差や下肢の痛みです。また、血栓が血管の壁から剥がれ、血流に乗り、肺の動脈に詰まってしまう事を「肺塞栓症」と言います。胸部痛や呼吸困難、強い全身倦怠感、さらにはショックにいたる重篤な症状をもたらします。最悪の場合、生命の危険にさらされることもあります。深部静脈血栓症を予防することが肺塞栓症を予防することになります。予防策は「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」に則り、医療用弾性ストッキングの着用、下肢間欠的圧迫装置(フットポンプ)の使用、抗凝固療法が行われます。
当統計は、「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」においてリスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の予防対策実施率です。
実施率93.15%で前回92.91%と比較すると0.24%上昇しています。当統計は診療報酬請求に基づくもので、実際の実施率とは異なります。実質実施率は98.6%です。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1722 1190 69.11%
血液培養検査は血液中に細菌存在するかどうか確認する検査です。菌が検出された時は検出された菌の薬剤感受性検査を行うことにより、正しい抗菌薬を選択することができます。検出感度を上げ、確実に菌を検出するため、コンタミネーション(血液培養検査時の皮膚の常在菌混入による汚染)の判定の為2セット以上行うことが推奨されています。
当統計は、抗菌薬の種類に係わらず血液培養検査を2セット以上行った実施率です。小児症例では、培養検査は1セットで行っています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
359 316 88.02%
広域スペクトル抗菌薬は幅広い種類の細菌に効く一方で、薬剤耐性菌も広範囲に選択するリスクがあります。不適切な抗菌薬の使用は耐性菌の発生や蔓延の原因になります。その為 広域スペクトル抗菌薬を使用する場合は特に抗菌薬投与前の細菌培養検査実施が重要となります。当院においては、感染制御チーム(ICT)が中心となり抗菌薬適正使用に取り組んでいます。
※スペクトル(抗菌スペクトル):抗菌薬が作用する細菌の種類を示したもの
当院における実施率は88.02% 前回と同程度です。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
92296 453 4.91‰
入院されると看護師は各患者さんに様々なことを伺い状態を評価し、看護計画を立案します。その中で転倒転落の危険性についても評価しています。転倒転落の危険性は、年齢、既往歴、機能障害、認知力等身体的な評価だけで無く、使用薬剤や病状も含め評価しています。健康な時とは異なることや、日頃生活している場所とは異なる環境での生活といった変化など様々な要因で転倒や転落しやすくなる可能性があります。また全国的な高齢化にともない入院患者も高齢化しています。看護師は、評価に応じ看護計画をたて、十分に注意を払いながら看護にあたってはいますが、残念ながら転倒や転落事故が発生してしまいます。
インシデント・アクシデントレポートで各事故の報告がされ、その事故の内容を分析し、院内でその情報を共有することにより今後の事故発生リスクを軽減するよう努めています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
92296 12 0.13‰
インシデント影響度分類レベル3b以上というのは損傷レベルが骨折や手術が必要となった神経損傷・身体内部の損傷等が生じた重度であるもの以上の発生率です。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
1170 1146 97.95%
予防的抗菌薬投与は、手術部位感染発生率の減少を目的として行われます。投与開始の時期は手術開始(皮膚を切開する時点)の1時間前以内に投与開始します。これは手術が始まる時点で、十分な殺菌作用を示す血中濃度(血液内に入っている薬の量)が必要とされているからです。
「手術部位感染予防のための予防的抗菌薬ガイドライン」より
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
81258 139 0.17%
褥瘡は「床ずれ」と呼ばれ長時間の圧迫などにより皮膚・軟部組織に損傷が生じる状態であり、発生した場合には生活の質に直結します。当院では皮膚・排泄ケア特定認定看護師を中心に褥瘡発生予防、早期発見に取り組んでいます。近年では入院患者の高齢化に伴い褥瘡発生した場合には重症化する例もあり、2024年度から週1回のハイリスク回診(皮膚・排泄ケア特定認定看護師、褥瘡対策委員会の医師・各部署の看護師・リハビリスタッフ・栄養士・薬剤師が同行)を開始しました。今後も発生率の低減を目標に予防・モニタリング・早期発見・早期治療に取り組み、患者さんの生活の質を担保できるよう取り組んで参ります。
今回の統計は入院後発症した症例です。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
3268 3250 99.45%
低栄養状態は自覚しにくく気がつかないうちに進行している事があります。その為当院では入院後早期に栄養評価を行っております。低栄養と判断された方には必要な場合 栄養サポートチーム(NST)が介入し、適切な栄養管理を提供しています。また、ミールラウンド(実際の食事場面に立ち会い、食事器具の扱い、姿勢、形態・量、咀嚼・のみ込みの機能などを観察・評価すること)し食事調整をしています。回復期リハビリテーション病棟では医師とミーティングを行い、栄養改善に取り組んでいます。
尚、栄養指導の必要な方には栄養指導を行います。
※栄養サポートチーム(NST)は医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、事務など他職種で構成されています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
88351 7130 8.07%
「身体的拘束」とは、患者さんの安全確保や徘徊・転落などの危険行為を防ぐため 「切迫性(本人または他の人への生命・身体への危険が差し迫っている場合)・非代替性(身体拘束以外の適切な代替手段がない場合)・一時性(拘束は必要最小限の期間に限定されるべき場合)」の3要件を全て満たす場合に行われます。方法としては 抑制帯、つなぎ服、ミトン、柵の設置等があります。実施に際しては患者さんやご家族へ説明を行い同意を得た上で医師の指示の下実施されます。また、その必要性について医療スタッフが日々評価、検討し拘束不要となった場合には速やかに解除しています。尚、当調査では柵の設置のみの症例は除外しています。
更新履歴
2025.9.30