減塩低エネルギープロジェクト(egSTEP)

第5回 減塩低エネルギープロジェクト(egSTEP)

今回は尿を作る臓器である腎臓について少しお話します。腎臓は尿を産生する臓器であり、体の水分や老廃物の管理をしたり、血圧や貧血に関するホルモンの産生やカルシウムに係るホルモンの活性化に関わっています。その腎臓の機能が悪くなってくると、体内の老廃物を排泄する能力が低下したり、水分や電解質の調節が乱れたり、貧血が進行したりします。その結果、尿毒症という症状(食欲低下、吐き気、むくみ、呼吸困難、疲れやすい、高血圧、意識障害)が出現し、透析治療をしないと生命に危険が及びます。さらに腎臓は機能が弱ってきても早期には自覚症状が出現しないため、早期発見、早期治療が透析療法等の腎代替療法から免れるためにも重要です。
腎の機能を守るためには腎機能を悪化させる因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、貧血の管理が重要です。血圧が高いほど、心血管病による死亡率が高いことはよく知られていますが、腎不全についても血圧が高いほど、末期腎不全になる危険が高くなることが知られています。腎臓を守るためにも血圧管理は重要です。つまり、塩分を減らせば血圧が下がり、腎臓の負担が減ります。塩分制限を行うことは腎臓だけでなく、様々な臓器を守ることにつながります。健康な体を維持していくためにも減塩を続けていきましょう。
渥美先生2