泌尿器科

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医師紹介

診療部長

海野 智之 Toshiyuki Unno

専門分野 泌尿器科一般
専門医・認定医 日本泌尿器学会泌尿器科専門医
日本泌尿器学会泌尿器科指導医
日本透析医学会透析専門医
日本透析医学会指導医
業績など

医員

北川 雄一  Yuichi  Kitagawa

専門分野
専門医・認定医
業績など

医員

佃 啓輔  Keisuke Tsukuda

専門分野
専門医・認定医
業績など

当院泌尿器科の特徴

高齢化社会に伴い、泌尿器科の病気で悩まれる患者様が益々増加しています。
当科は、主に泌尿器がん (腎がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん) はもちろん、前立腺肥大症などの排尿障害、また尿路結石や腎不全などの急性期疾患、副腎腫瘍の診療に力を入れています。
当科は2017年4月から3名の常勤医と浜松医科大学の非常勤医師による応援体制で診療を行っています。常に質の高い医療をすべての患者様に提供し、今後も浜松市の泌尿器科疾患の診療拠点となるべく、以下のことを日々心がけて診療にあたっていきたいと思います。

  • 派遣大学である浜松医科大学との連携を密に行いながら、最新の知見をふまえて標準的な治療やガイドラインに準じた医療を実践します。
  • クリニカルパスを積極的に導入して医療者と患者様の治療経過の共有、可視化に努めます。
  • 医師だけでなく、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床工学技士、検査技師が、お互いに専門の知識や技術を提供し、お互いに尊重しながら、多職種によるチーム医療を重視して患者様の診療にあたります。
  • 個々の鍛錬を忘れず、積極的に研究会や学会に参加して最新の知識や技術の向上に努めます。

また、次の項目については診療を行っておりません

次の自費診療に該当するもの

不妊治療、パイプカット(精管結紮術)、ED(勃起不全)治療、仮性包茎治療

小児科で手術適応の場合

小児の停留精巣および包茎治療は、手術適応の有無に関しては診察可能ですが、手術は他院への紹介となります。

泌尿器科のがんで悩まれている方へ

泌尿器科のがんに対しては、手術、化学療法、放射線療法を適切に組み合わせて治療を行うことが大切です。その中でも手術療法は有効な治療法ですが、患者様にとっては不安が大きいことも確かです。当科では手術に伴う患者様への体の負担や傷の痛み、傷あとを最小限にするために、腹腔鏡や体腔鏡を積極的に最大限に取り入れております。また、化学療法や放射線療法が主体になる泌尿器科のがんもあります。当科では泌尿器がんに関する標準的な化学療法とともに、難治がんに関しては最新の化学療法の試みも行っています。また放射線療法に関しても放射線療法専門医と連携し治療、ケアを行います。
現在のがんの治療には、患者様の希望、考え方、体力、社会的背景も非常に重要な要素です。例えば前立腺がんなどでは患者様の年齢、体力、希望、考え方と病気の状態から、同じ病状でも手術療法、放射線療法、薬物療法など、様々な方法で治療が行えます。当科では、手術だけでなく、薬による治療、放射線治療、緩和医療など、いろいろな治療法を提案し、個々の患者様にとって最良な治療を、患者様と共に考えながら行います。

◆ 泌尿器がん

腎(細胞)がん

腎がんの治療の基本は腎摘出となります。比較的早期の腎がんに対しては、腹腔鏡下腎摘除を施行いたします。近年では小さな腎がんに対しては腎部分切除術が推奨されています。全摘に比べて難易度が高く適応は限られますが、積極的に検討していく方針です。また進行がんや転移をきたした場合に対しては分子標的薬による治療を行っています。

膀胱がん

早期がんに対しては内視鏡的切除術を施行しています。転移のない浸潤がんには標準治療である膀胱全摘術を推奨しています。しかし、尿路変更による生活の質の低下やボディイメージの変化が手術決定の妨げとなることが多く、患者様の状態や希望を十分考慮して決定します。また、手術ができない患者様や転移をきたした症例や再発症例には、有効かつ副作用が少ない化学療法であるGC療法 (ゲムシタビン、プラチナ製剤) や放射線療法を病状に応じて施行しています。

腎盂がん・尿管がん

腎盂・尿管がんは、早期の場合は腎尿管全摘除術が基本です。腹腔鏡下腎摘除+下部尿管摘除にて手術を施行しています。病理学的には膀胱がんと同じものですが、比較的再発や転移を起こしやすく、膀胱がんと同様の化学療法や放射線療法を手術の前後に必要に応じて施行しています。

前立腺がん

確実に増加している前立腺がんを早期発見するために、前立腺腫瘍マーカー(PSA)の測定と前立腺生検を積極的に施行しています。当院では検診センターがPSA測定を原則として対象年齢の男性全員に行っているため、前立腺がんが早期に発見される場合が増加しています。可能な限り経直腸エコーとMRIを前立腺生検の前に施行することにより、不要な生検を回避して診断率の向上に寄与していると思われます(2015年の癌検出率72%)。早期例の治療としては手術(前立腺全摘術)療法以外に2002年より原体照射による放射線療法が導入され、より侵襲の少ない治療が可能となりました。また、前立腺がんが早期の場合は治療の選択肢が多岐にわたります。当科では患者様に適した治療方法を最優先して考え、当院では扱っていない治療(ロボット支援手術)についても、情報提供しています。一方進行がんや転移がんに対しては、近年承認された抗がん剤のカバジタキセル、新規ホルモン剤のエンザルタミドやアビラテロンを積極的に導入しています。

◆ 副腎腫瘍

副腎の腫瘍は大別して2種類あります。腫瘍はあるけれども過剰にホルモンを分泌しない非機能性腫瘍と、腫瘍から前述のホルモンを分泌し過ぎる機能性腫瘍です。機能性腫瘍の場合、治療の原則は腹腔鏡手術による腫瘍摘出です。当科は副腎腫瘍の診断および治療において循環器内科、内分泌内科との密接な協力体制の下に副腎疾患の治療拠点を形成しています。

◆ 前立腺肥大症

前立腺は膀胱の下で尿道の周りを取り囲んでいます。そのため、前立腺が肥大すると、尿道がしめつけられて「尿の出が悪い」とか「トイレが近い(頻尿)」 などの症状が出ます。中には尿閉といって、尿が自力で出なくなり下腹部がパンパンに張って救急車で来院される患者様もいらっしゃいます。
前立腺の大きさが軽度から中等度(30から50グラム)の場合、症状は薬でかなり良くなりますが、根本的な治療には手術が必要です。当院では、お薬の治療で効果が不十分な場合は手術をお勧めしてします。当科では標準的な経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を行っていますが、70グラムを超える大きな前立腺や抗凝固剤内服中の患者さんに対してはより侵襲の少ない手術を他院に紹介しています。

◆ 尿路結石

尿路結石治療は多くの場合、保存的治療 (自然排石をめざす) にて可能ですが、結石の大きさ等の問題で不可能な場合、何らかの砕石装置により結石を砕く必要があります。結石は状況により、病態の緊急性や手術方法により、さまざまな治療プランが存在します。可能な限り患者様の希望もふまえて、最適な治療プランを提供していくつもりです。

1.体外衝動波結石破砕(ESWL)
 2018年6月以降、当院ではESWL施行不可能になりました。この理由は、施設基準(腎・尿管結石の治療に関し、専門の知識及び少なくとも5年以上の経験を有する常勤の医師が2名以上配置されていること)を満たせなくなり、保険請求不可能となったからです。(自費負担での施行は可能ですが、日帰りで約20万円かかります。)
近隣の諸先生方には当科でESWLが再開出来るまでのしばらくの間、大変ご迷惑をおかけしますが、ご容赦の程宜しくお願い申し上げます。
2.経尿道的あるいは経皮的結石砕石術
 ESWLにて砕石できない非常に硬い結石や大きな結石には直接内視鏡で結石を観察しながらホルミニウムヤグレーザーで砕石する方法です。麻酔が必要ですが、ほぼ完全に砕石することが可能です。当科では最新の細径腎盂尿管ファイバーを3台常備しており、あらゆる結石治療に対応可能です。

◆ 腎後性腎不全・重症尿路感染症

尿路結石や腫瘍に伴う尿路閉塞で、重篤な腎不全や感染症に至るケースもあります。当科では、緊急ドレナージとして、尿管ステント留置や経皮的腎瘻造設術はもちろんのこと、症例に応じてエンドトキシン吸着や血液透析を積極的に併用し、病状の早期回復を図ります。