第9回 減塩低エネルギープロジェクト(egSTEP)
妊娠で始まる糖尿病とその予防
- 妊娠で始まる糖尿病をご存知ですか?
- 妊娠中の高血糖、赤ちゃんは?
- 母体への影響は?
糖尿病といえば、中年以上の方が暴飲暴食などで体重増加してかかる病気、と言う印象ですよね。でも、女性は暴飲暴食しなくても、妊娠時には10kg程度の体重増加があるのは当たり前です。赤ちゃんと、胎盤と、羊水で、5kgにはなりますし、胎盤からのホルモンの影響で脂肪がつきやすく、血中のコレステロールも増加します。その時にいかに自分のインスリンが適切に分泌されて血糖値を正常にできるかが、赤ちゃんにもその後の自分にも問題となるのです。いわば、妊娠は女性のインスリン分泌機能を試す場でもあるのですね。妊娠糖尿は、最初から糖尿病があって妊娠した場合とは異なります。妊娠して初めて少し血糖値が正常範囲より上昇した場合のことを指します。妊娠したから体力をつけて、とエネルギーを取り過ぎないようにしましょう。
高血糖にさらされることで、赤ちゃんの臓器の発達が異常になることがわかっています。週数の早い時期から高血糖になると、赤ちゃんに奇形が起こりやすく、その確率は正常の妊娠の場合の3倍以上。週数の遅い時期での高血糖は3500g以上の巨大児になりやすくなります。この場合、産道から出てこられなくなり、酸素不足になったり、新生児低血糖になったりします。
妊娠時の高血糖の定義は妊娠していない人の高血糖の定義よりも厳しい基準が設けられています。妊娠糖尿と判定されても、その状態が糖尿病に直結しているわけではありません。しかし、妊娠糖尿と診断された方はそうでない方の7倍の高率で、その後糖尿病になっています。ですから、妊娠糖尿と診断された方は、出産後も定期的に検査を受けて糖尿病を予防する必要があります。糖尿病は自覚症状がないので、むしろ妊娠糖尿と診断されて予防を始めることができると考えていただきたいですね。
治療と予防編は次回また…